INTERVIEW 02
プロの「感覚」を形にするため、
私たちは毎週、全国を駆け回る。
スポーツマーケティング/桜井政彦
Chapter 01
かつて私は、人生のすべてを賭けて本気でプロゴルファーを目指していました。しかし現実は厳しく、夢半ばでその道を諦めることに。ゴルフから離れて別のキャリアに進もうと考えた時期もありましたが、心の奥底にはどうしても消せないコースへの未練と情熱が燻っていました。そんな時、高校時代の友人がキャロウェイで働いていた縁で声をかけてもらったのが、運命の転機でした。
私にとってキャロウェイは、単なるゴルフメーカーではありません。大ファンだった石川遼選手をはじめ、多くのトッププロが愛用し、常に「勝利」と共に在る輝かしい憧れのブランドでした。「ここなら、自分の情熱をぶつけられるかもしれない」。プレーヤーとしてではなく、選手を支える裏方として、もう一度あのヒリヒリするようなツアーの世界で戦いたい。その一心で、私はこの新しいキャリアに飛び込みました。
Chapter 02
「ツアーレップ」と聞くと、プロと一緒に試合を回り、華やかな世界に身を置くイメージを持たれるかもしれません。しかし、その実態は想像を絶するほどタフで泥臭い仕事です。シーズン中は毎週のように全国各地を飛び回り、早朝から日暮れまでゴルフ場とホテルを往復する日々。自分が担当する契約選手だけでなく、キャロウェイ製品を使用する選手を含めると、1試合で20〜25名ほどの対応を一人で行うこともあります。
現場では、「スピン量をあと少し抑えたい」「構えた時の顔がしっくりこない」といった、感覚的かつシビアな要望がひっきりなしに飛んできます。練習ラウンドの限られた時間の中で、選手の言葉にならない違和感を汲み取り、猛ダッシュでツアーバン(移動工房車)に戻って調整し、また打ってもらう。その繰り返しです。体力的にも精神的にも極限まで削られますが、私たちの迷いや遅れは、選手のプレーに直結してしまう。この強烈なプレッシャーとスピード感こそが、ツアーの最前線に生きている証なのです。
Chapter 03
それほど過酷な環境でも、この仕事を辞めたいと思ったことはありません。理由はただ一つ、震えるような「勝利の味」を知っているからです。私の役割は、選手の繊細な感覚を、具体的な数値とスペックに翻訳して落とし込むこと。たった1gのウェイト調整、シャフトの挿し方による数ミリの違いが、ボールの軌道を劇的に変え、勝敗を分けることを知っているからです。
最もやりがいを感じるのは、自分が泥臭く調整を繰り返したクラブを手に、選手が優勝を掴み取った時です。以前、担当した若手選手が初優勝を決めた際、ウィニングパットを決めたその手で、私が調整したパターを高々と空に掲げてくれました。その瞬間、毎週の移動の疲れも、現場でのプレッシャーもすべて吹き飛び、涙が出るほどの感動に包まれました。選手はビジネスパートナーですが、苦楽を共にする「戦友」でもあります。厳しいプロの世界で戦う彼らを一番近くで支え、共に頂点の景色を見る。その圧倒的な充実感は、他の仕事では絶対に味わえません。
選手が来る前にコースに入り、ツアーバンを開けて準備を開始。その日の天候やコース状況を確認し、選手を迎える体制を整えます。
練習を開始した契約プロのもとへ。選手の打球を見守り、「スピン量が多い」「顔(構え)が気になる」などの要望をヒアリング。その場ですぐに調整案を考えます。
ツアーバンに戻り、クラフトマンと連携して調整作業。ウェイトの変更やシャフト交換など、選手の感覚を1g単位のスペックに落とし込み、すぐにレンジへ届けます。
選手がラウンドに出ている合間を縫って昼食。同じチームのスタッフと選手の調子や機材のフィードバック情報を共有し、午後の対応策を練ります。
練習ラウンドについて回り、実際のコースでの弾道を確認。計測器(トラックマン等)を使用し、感覚と数値を照らし合わせながら、新製品のテストや微調整を行います。
練習終了後、選手から得たフィードバックやテスト結果をまとめ、本社の開発チーム(石野さん等)へ共有。次期製品の開発や改良に活かします。
明日のスケジュールの確認と道具のメンテナンスを行い、業務終了。ホテルへ戻り、翌日の早朝対応に備えて体を休めます。